なぜ、急須と言うの!

 中国では急須のことを「茶壺」Cháhúチャーフーと言う。日本では茶壺のことを急須(きゅうす)という。日本のある地域では「きびしょ」とも言われていた。小さいころ我が故郷・秩父でも「きびしょ」と言っていたことを思い出す。それではなぜ、日本では急須と言われる様になったのか?茶を淹れる文化は中国から伝わったもの、では急須も?

 司馬遼太郎「街道をゆく19」《中国・江南のみち》の目次に「急須」という題目がある。その中できびしょ(kibisho)に近い標準福建語の音を探したところ福建雷峰出身の方から「kip-su]と発音する言葉を引き出した。一方、上方語源辞典によると「きびしょ」を漢字に当てはめると「急焼」、次に「急須」とある。福建語の「kip-su]から急須が生まれたか? つまり福建語「kip-su] ⇒「きびしょ」⇒「急(備)焼」⇒「急須」

呉人、酒を温める器を呼んで、急須と為す。急須とは、その急に応じて用いるや。(漢文随筆集三余清事の写本より)