《北大路魯山人》
台北にて、初めて魯山人の作品に出会う。
旬の素材にとことんこだわり、その食材を最大限に生かし料理を仕上げる。仕上げた料理を器に盛る。魯山人曰く「器は料理の着物である」と。器は料理を盛り付けることにより、さらに引き立った器となる。そして数年後、落ち着いた気品に溢れた器になると。
魯山人の器は、古き良きものを独自の創造性で形に変え、それまでとは異なる価値観を生み出した「器」と言っても過言ではあるまい。魯山人は風土、伝統から離れ、料理を生かす器作りに傾倒し、柔軟でグローバルな世界を築いた。「温故知新」魯山人の好きな言葉でもある。
ここで紹介する器は、台北で中国古典家具や中国陶磁器などを取り扱う骨董商を営む店主が、当時魯山人と交流があったアメリカ人から譲りうけたものである。